過払い金請求の時効と流れ|条件・引き直し計算・取引履歴の開示を条文で確認

任意整理の相談をしていたら「昔の借入れなら払いすぎがあるかもしれない」と言われた。あるいは、だいぶ前に完済した消費者金融の借入れを思い出して、今からでも取り戻せるのか気になっている。そんな状況で「過払い金 請求」と調べると、上位には「無料診断」「あなたも戻るかも」と呼びかけるページが並びますが、自分の取引が対象なのか、期限は過ぎていないのかを自分で確かめる材料は、あまり書かれていません。

この記事は、利息制限法・貸金業法・民法の条文と、最高裁判所の判決文、金融庁・信用情報機関の公表だけを使って、次の5つを順に確かめます。

  • 出る条件:利息制限法の上限(元本10万円未満は年20%、100万円未満は年18%、それ以上は年15%)を超える利息を払っていた期間があること。貸金業者の上限が年20%に下がったのは2010年6月18日で、それより前の契約が中心になります。
  • 期限:最高裁は、続けて借り返しをしていた取引の過払金は「取引が終了した時点から」時効が進むと判断しています(2009年1月22日判決)。2020年3月までに生じた過払金は、そこから10年です。
  • 計算:50万円を年28%・60回で返した仮の例で、上限の年18%で計算し直すと、払いすぎは246,762円になりました。ただし、この例は2010年4月に完済しているので、時効の期限はすでに過ぎています。
  • 取引の記録:貸金業法19条の2で、借りていた本人は記録の閲覧・写しを請求でき、業者は原則として断れません。記録は最後の返済などから少なくとも10年保存の決まりです。
  • 信用情報:CICは「過払い金請求をした事実に関するコメントは登録されません」と答えています。返済中に請求して借金が残る場合は、扱いが変わることがあります。

過払い金が出るのは「利息制限法の上限を超えて払っていた期間」があるときだけ

過払い金は、法律で認められた上限より高い利息を払っていた場合に、その超えた分を元本の返済に回して計算し直した結果、借金がなくなった後も払い続けていた分のことです。法律上は、法律上の原因なく受け取った利益を返す義務(民法703条の不当利得)として扱われます。

上限を決めているのは利息制限法1条です。条文は、利息の契約のうち次の利率で計算した額を超える部分を「無効とする」と定めています。

借りた元本の額 利息制限法1条の上限(年率)
10万円未満 20%(条文は「年二割」)
10万円以上100万円未満 18%(「年一割八分」)
100万円以上 15%(「年一割五分」)

上限を超えた利息の契約が「無効」なのに、なぜ多くの業者がそれより高い金利で貸していたのか。理由は、もう1つの法律である出資法の上限が別にあったからです。金融庁の「貸金業法のキホン」は、法律上の上限金利には「利息制限法の上限金利(超過すると民事上無効):貸付額に応じ15%~20%」と「出資法の上限金利(超過すると刑事罰):改正前は29.2%」の2つがあったと説明しています。この2つの間の金利で貸すことは、改正前の貸金業法43条の条件を満たせば有効と扱われていました。これが「グレーゾーン金利」です。

金融庁の同じページは、「平成22年6月18日以降、出資法の上限金利が20%に引き下げられ、グレーゾーン金利が撤廃されます」と書いています。つまり、貸金業者から年20%を超える金利で借りる契約は、2010年6月18日以降はできなくなりました。過払い金が出るのは、おおむねそれより前に高い金利で借りて、返済していた期間がある人です。

自分の契約が当てはまるかの目安

  • 契約書や利用明細に書かれた金利が、上の表の上限を超えていたか(たとえば50万円の借入れで年18%を超えていたか)
  • その金利で返済していた期間が、2010年6月18日より前にあるか
  • 銀行のカードローンや、クレジットカードのショッピング払いではなく、消費者金融やカード会社の「キャッシング」(お金を借りる部分)だったか

最初から上限の範囲の金利で借りていた場合は、計算し直しても過払い金は出ません。

出典:e-Gov法令検索「利息制限法」第1条 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100 /「民法」第703条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 /金融庁「貸金業法のキホン」https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html(いずれも2026年11月8日確認)

2006年1月13日の最高裁判決が「みなし弁済」を事実上通らなくした

グレーゾーン金利の利息が有効とされる道は、改正前の貸金業法43条1項にありました。業者が決められた書面を渡していて、借り手が「利息として任意に支払った」ときは、上限を超えた部分も有効な利息の支払いとみなす、という規定です。この「みなし弁済」があったため、高い金利で払った分を取り戻すのは難しいと考えられていました。

流れを変えたのが、最高裁判所第二小法廷の2006年(平成18年)1月13日判決(平成16年(受)第1518号)です。当時の消費者金融の契約には、返済を1回でも遅らせると残りを一括で払わなければならなくなる特約(期限の利益喪失特約)がよく付いていました。判決は、この特約について次のように述べています。

「この特約の存在は,通常,債務者に対し,支払期日に約定の元本と共に制限超過部分を含む約定利息を支払わない限り,期限の利益を喪失し,残元本全額を直ちに一括して支払い,これに対する遅延損害金を支払うべき義務を負うことになるとの誤解を与え,その結果,このような不利益を回避するために,制限超過部分を支払うことを債務者に事実上強制することになるものというべきである。」

そのうえで判決は、この特約のもとで上限を超える利息を払った場合、「上記のような誤解が生じなかったといえるような特段の事情のない限り,債務者が自己の自由な意思によって制限超過部分を支払ったものということはできない」としました。「任意に支払った」と言えなければ、みなし弁済の条件を欠きます。分割払いで一括請求の特約が付いているのは当時ふつうの形だったため、この判決のあとは、上限を超えて払った分を元本に回して計算し直すことが一般的になりました。

同じ判決は、業者が受け取りのときに渡す書面(18条書面)に契約年月日の代わりに契約番号を書けばよいとした当時の内閣府令の一部を、法律の委任の範囲を超えていて無効だとも判断しています。みなし弁済の条件は、書面の面からも狭く読まれることになりました。

なお、過払い金に利息を付けて返すよう求められるのは、業者が法律上の原因がないと知って受け取っていた「悪意の受益者」の場合です(民法704条)。最高裁は2009年7月10日の判決(平成20年(受)第1728号)で、2006年1月13日判決の言い渡し日以前の支払いについては、期限の利益喪失特約のもとで受け取ったことだけを理由に業者を悪意の受益者と推定することはできない、としています。利息まで求めるかどうかで、業者との話し合いが分かれる点の1つです。

出典:最高裁判所第二小法廷 平成18年1月13日判決(平成16年(受)第1518号)民集60巻1号1頁 https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-52404.pdf /最高裁判所第二小法廷 平成21年7月10日判決(平成20年(受)第1728号)民集63巻6号1170頁 https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-37822.pdf /e-Gov法令検索「民法」第704条(いずれも2026年11月8日確認)

過払い金の時効は「取引が終わった時から10年」が基本

過払い金を返してもらう権利(過払金返還請求権)も、ほかのお金の請求と同じく、期間がたつと時効で消えます。問題になったのは「いつから数えるか」でした。過払い金は、払いすぎた月ごとに少しずつ生まれます。業者側は「それぞれの過払いが生まれた時から10年」と主張し、古い時期の分は時効だと争いました。

最高裁判所第一小法廷の2009年(平成21年)1月22日判決(平成20年(受)第468号)は、1つの基本契約のもとで借りては返すことを繰り返していた取引について、こう判断しています。

「過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は,過払金返還請求権の行使について上記内容と異なる合意が存在するなど特段の事情がない限り,同取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である。」

「過払金充当合意」とは、払いすぎが出ても、その後にまた借りたらその借金の返済に回す、という取り決めのことです。判決は、取引が続いている間はこの取り決めが請求の「法律上の障害」になるので、時効は進まないと述べています。この事件では、1982年8月10日から2005年3月2日まで続いた取引について、時効は完成していないとされました。

金融庁はこの判決の概要を2009年2月19日に公表し、「一般的なリボルビング契約であれば少なくとも黙示の過払金充当合意があると認められると解される」と書く一方で、貸付けごとにいったん完済させてから次を貸していた事案で、充当の合意が否定された下級審の例もあると注意しています。カードで何度も借りては返していた取引なら、最後の取引の時から数えるのが基本、ただし途中で完済して間が空いた取引は、別々に数えられることがある、ということです。

基本契約がない「借り換え」でも、最高裁は2007年(平成19年)7月19日の判決(平成18年(受)第1534号)で、切り替えと貸し増しが長年くり返され、1度だけ間が空いた貸付けも前回の返済から間を置かず同じ条件で行われていた事情のもとで、全体を「1個の連続した貸付取引」とみて、過払金を後の借入れに充当する合意を認めています。なお、この事件で請求したのは、借り手の破産管財人でした。

出典:最高裁判所第一小法廷 平成21年1月22日判決(平成20年(受)第468号)民集63巻1号247頁 https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-37212.pdf /金融庁「過払金返還請求権の消滅時効に関する最高裁判決の概要について」(平成21年2月19日)https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/20090219.html /最高裁判所第一小法廷 平成19年7月19日判決(平成18年(受)第1534号)民集61巻5号2175頁 https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-34959.pdf(いずれも2026年11月8日確認)

2020年4月の民法改正で何が変わったか:どちらの決まりで数えるか

民法の時効の決まりは、2020年(令和2年)4月1日に大きく変わりました(法務省の案内では、一部の規定を除き同日施行)。改正前と改正後の条文を並べると、次のとおりです。

改正前(2020年3月31日まで) 改正後(2020年4月1日から)
期間 旧167条1項「債権は、十年間行使しないときは、消滅する。」 166条1項:次のどちらか早い方
1号「権利を行使することができることを知った時から五年間」
2号「権利を行使することができる時から十年間」
数え始め 旧166条1項「権利を行使することができる時から進行する」 上の2つの時点
過払金の利息の率(民法704条の利息) 旧404条「年五分」(年5%) 404条:利息が生じた最初の時点の法定利率(2項で年3%とし、3年ごとに見直し)

どちらを使うかは、改正法の附則10条4項が決めています。「施行日前に債権が生じた場合におけるその債権の消滅時効の期間については、なお従前の例による」。施行日前に生じた債権なら、改正前の「10年」がそのまま使われます。

過払金は、払いすぎた支払いのたびに生じる債権です。上で見たとおり、貸金業者の金利が上限の範囲に下がったのは2010年6月18日なので、多くの過払金はそれより前、つまり2020年4月より前に生じています。こうした過払金は、改正前の決まりで「権利を行使できる時(取引が終了した時)から10年」で数えることになります。

改正後の決まり(知った時から5年、またはできる時から10年)が問題になるのは、2020年4月1日以降に新しく生じた過払金です。たとえば、すでに借金が計算上なくなっているのに、2020年4月以降も同じ取引で返済を続けていた場合、その後の支払いは丸ごと払いすぎになります。その分について「知った時」がいつかは、取引履歴を取り寄せて計算した時なのか、それより前なのかで争いになりえます。確かめた範囲では、この点を正面から判断した最高裁判決は見つけられませんでした。

2026年11月から逆算すると:改正前の決まりで数える過払金は、取引が終わった日から10年なので、最後の取引が2016年11月より後でなければ、原則として時効期間が過ぎています。ただし、期間の途中で業者に裁判で請求していた、業者が過払金の存在を認めていたなど、時効の中断(改正後は「更新」)にあたる事情があれば数え方が変わります(改正法附則10条2項で、施行日前に生じた中断の事由は改正前の例によります)。

2010年6月より前に高い金利で借り始め、その後も同じカードで借りては返すことを続けていた人は、最後の取引がもっと後になります。業者の金利が途中で上限内に下がっていても、それより前に生じた過払金は、充当の合意によって後の借入れに回されながら取引の終わりまで持ち越されるので、時効の数え始めは取引の終わりです。

出典:e-Gov法令検索「民法」第166条・第404条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 /法務省「民法の一部を改正する法律(債権法改正)について」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html /同「法律」附則第10条 https://www.moj.go.jp/content/001264450.pdf /同「新旧対照条文」(旧166条・旧167条・旧404条)https://www.moj.go.jp/content/001242222.pdf(いずれも2026年11月8日確認)

引き直し計算を実際にやってみる:50万円・年28%・60回の例

過払い金があるかどうかは、業者から取り寄せた取引の記録を使い、約定の金利ではなく利息制限法の上限金利で、1回ごとの返済を利息と元本に割り振り直して確かめます。これを「引き直し計算」と呼びます。考え方を目で見るために、仮の取引で計算しました。

計算の前提(仮の例)

  • 2005年4月に50万円を1回だけ借り、約定金利は年28%(当時の出資法の上限29.2%以内)
  • 毎月同じ額を払う元利均等返済で60回。初回は2005年5月、最終回は2010年4月
  • 月の利息は「残高×年利÷12」で計算し、1円未満は四捨五入(実際の業者は日割りで計算するので、数字は少しずれます)
  • 途中の追加の借入れや遅れはなし。元本50万円なので、利息制限法の上限は年18%

年28%・60回の毎月の返済額は15,568円で、60回の合計は934,080円です。そのうち利息は434,080円になります。同じ15,568円ずつの返済を、年18%で計算し直すと、残高は次のように減っていきます。

時点 約定(年28%)の残高 引き直し(年18%)の残高
12回目(2006年4月) 446,685円 394,782円
24回目(2007年4月) 376,369円 268,983円
36回目(2008年4月) 283,630円 118,575円
45回目(2009年1月) (まだ残っている) この回で0円を下回る
48回目(2009年4月) 161,316円 −59,946円(払いすぎ)
60回目(2010年4月) 0円 −246,762円(払いすぎ)

年18%で計算し直すと、45回目の支払いの途中で借金はなくなり、その後の16回分の支払い(45回目の超えた分13,242円と、46〜60回目の15,568円×15回)は丸ごと払いすぎになります。合計は246,762円で、これは「年28%の利息434,080円」と「年18%の利息187,318円」の差と一致します。

業者が民法704条の悪意の受益者にあたる場合は、払いすぎた日ごとに利息が付きます。この例の過払金はすべて2020年4月より前に生じているので、改正前の年5%で、最終回の2010年4月までの分を単純に計算すると7,639円でした。利息はその後も返してもらう日まで付き続けますが、前の章で見たとおり、悪意の受益者にあたるかどうか自体が争いになりやすい部分です。

この例は、もう請求できません。最終回が2010年4月なので、取引の終わりから10年は2020年4月です。計算してみると払いすぎがはっきり出る取引でも、期限が過ぎていれば業者は時効を主張できます。過払い金を調べるときは、金額より先に「最後の取引はいつか」を確かめるほうが確実です。

実際の取引では、借りては返すことを何年も続けた記録になり、数百行になることも珍しくありません。計算の考え方は同じで、1回ごとに「前回からの日数分の利息を上限金利で計算→支払額から利息を引いた残りを元本に回す→残高がマイナスになったら払いすぎとして持ち越す→次の借入れがあればそこに充当する」を繰り返します。借り入れ途中で残高が10万円未満や100万円以上になる場合の上限の当てはめ方については、利息制限法5条に、同じ業者から重ねて借りた場合は残っている元本と新しく借りた元本を合計した額を元本とみなす特則があります。

計算:記事作成者による(前提は上の囲みのとおり)。根拠条文:e-Gov法令検索「利息制限法」第1条・第5条 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(2026年11月8日確認)

取引の記録は自分で請求できる:貸金業法19条の2

引き直し計算には、いつ・いくら借りて・いくら返したかの全記録が要ります。手元に明細が残っていなくても、貸金業者には記録を作って保存する義務があり、借りていた本人はそれを見せるよう求めることができます。

決まり 中身
貸金業法19条(帳簿の備付け) 業者は営業所ごとに帳簿を備え、債務者ごとに契約年月日・貸付けの金額・受領金額などを記載し、保存しなければならない
同法19条の2(帳簿の閲覧) 「債務者等又は債務者等であつた者」は、帳簿(利害関係がある部分に限る)の閲覧または謄写(写しを取ること)を請求できる。業者は、権利の行使に関する調査を目的としないことが明らかな場合を除き、「当該請求を拒むことができない」
施行規則16条 帳簿に書く事項に、各回の弁済の内容や、債務者などとの交渉の経過の記録が含まれる
施行規則17条(保存期間) 契約ごとに、最終の返済期日(完済したときはその日)から少なくとも10年間保存。カードのような極度方式の基本契約では、解約日か最後の返済期日の遅い方から少なくとも10年間
施行規則17条の2 本人のほか、相続人、代わりに返済した人、本人から代理権を与えられた人なども請求できる
施行規則17条の3 業者は営業時間内に、請求に応じて閲覧・謄写をさせなければならない

「完済した人」も「債務者等であつた者」として請求できること、保存期間が時効と同じ10年で数えられていることがわかります。完済から10年が近い人は、記録が残っているうちに取り寄せておく意味があります。

自分で開示を請求するときの手順

  1. 借りていた業者の今の連絡先を確かめる(会社が合併・名称変更していることがあります。債権が別の会社に譲渡された場合も、貸金業法24条2項で譲り受けた会社に同じ帳簿の決まりが準用されています)
  2. 業者の窓口に、取引履歴(取引の記録)の開示を求めると伝える。電話で受け付けて郵送する業者も、専用の書式がある業者もあります
  3. 本人確認書類の写しなど、業者が求める書類を出す
  4. 求める範囲は「契約の最初から最後まで、全部の借入れと返済」と書く。一部の期間だけだと、充当の計算ができません
  5. 届いた記録の日付と金額を表計算ソフトに入れ、上の章の手順で引き直す

開示を求めることは、それだけで業者に「返してほしい」と伝えることにはなりません。計算の結果、払いすぎがあるとわかってから、業者に書面で返還を求めるかどうかを決めれば足ります。請求書には、取引の期間、引き直した結果の過払金の額、振込先、返事の期限を書くのが一般的です。業者が応じない、または提示額が合わないときは、裁判所で請求する方法になります。

出典:e-Gov法令検索「貸金業法」第19条・第19条の2・第24条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032 /「貸金業法施行規則」第16条・第17条・第17条の2・第17条の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年11月8日確認)

請求した後の信用情報:完済後と返済中で何が違うか

債務整理中・後の人がいちばん気にするのは、過払い金を請求したことで、この先の借入れやカードの審査に響くかどうかだと思います。信用情報機関の公表を確かめました。

CIC(主にクレジットカード会社や信販会社が加盟する信用情報機関)は、よくある質問で次のように答えています。

質問「過払い金請求をしたのですが、CICには過払い金請求をした事実が登録されますか?」
回答「過払い金請求をした事実に関するコメントは登録されません。」

同じくCICは、弁護士・司法書士に債務整理を依頼した場合についても「債務整理を依頼した事実に関するコメントは登録されません」と答えています。ただしCICには、申込みや契約、支払いの状況などのクレジット情報が登録されます。弁護士などが受任通知を出して返済が止まっている間に、業者が支払いの遅れとして報告すれば、遅れの記録は残ります。

JICC(主に消費者金融が加盟する信用情報機関)の「信用情報の内容と登録期間」のページには、過払い金請求そのものについての記載は見当たりませんでした。登録される情報として、契約内容、返済状況(入金日・残高・完済日・延滞など)、そして「債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡等」の取引事実が挙げられています。取引事実の登録期間は、契約日が2019年9月30日以前なら事実の発生日から5年を超えない期間、2019年10月1日以降なら契約継続中と契約終了後5年以内です。

状況 過払い金請求の結果 信用情報で起こりうること
完済した後に請求 借金はすでにないので、払いすぎた分を返してもらうだけ CICは請求の事実を登録しないと公表。返済状況は完済のまま
返済中に請求し、計算し直すと借金が0円以下になる 残りの返済がなくなり、差額が返ってくる 業者が完済として報告するか、どう報告するかは開示で確かめる
返済中に請求し、計算し直しても借金が残る 減った残りを分けて返す話し合いになり、実際には任意整理と同じ JICCの「債務整理」などの取引事実や、返済が止まっていた期間の遅れが登録される可能性がある

返済中の人で、計算し直しても借金が残る場合の流れや、その後どれくらいの期間カードやローンに影響するかは、任意整理のデメリットを時間の表で確かめた記事にまとめています。請求の前後で自分の記録がどうなっているかは、CICやJICCに本人開示を申し込めば確かめられます。

もう1つ、信用情報機関の登録とは別に、請求した相手の業者が自社の顧客記録をその後の審査にどう使うかは、確かめた範囲では公表されていません。同じ業者からまた借りる前提で考えないほうが無難です。

出典:CIC「過払い金請求をしたのですが、CICには過払い金請求をした事実が登録されますか?」https://www.cic.co.jp/faq/detail/1100.html /CIC「裁判所へ特定調停や民事再生を申請した場合、および弁護士・司法書士に債務整理を依頼した場合、自分の信用情報にその事実がコメントとして登録されますか?」https://www.cic.co.jp/faq/detail/1102.html /JICC「信用情報の内容と登録期間」https://www.jicc.co.jp/aboutus/credit-info/registration(いずれも2026年11月8日確認)

自分で請求するか、頼むか:決める前に見ておく3つの点

過払い金の請求は、本人が自分ですることもできます。開示の請求は上の手順で足りますし、計算も考え方は単純です。一方で、業者との話し合いでは、取引の途中で完済して間が空いていないか(別々の取引として時効を数えられないか)、悪意の受益者として利息を付けるか、といった点が争いになり、最高裁判決を読み比べて主張する必要が出てきます。

  • 最後の取引の日:2016年11月より前に取引が終わっていれば、改正前の決まりでは原則として時効期間が過ぎています。まず開示で日付を確かめます。
  • 途中で間が空いていないか:いったん完済して数か月〜数年後に借り直している場合、2009年1月22日判決の「1つの取引」として扱われるかが、時効と金額の両方を左右します。
  • 今も返済中か:計算し直して借金が残る場合は、請求というより任意整理になり、信用情報への影響が出る可能性があります。

弁護士・司法書士に頼む場合の報酬には、規程で上限があります。弁護士は日本弁護士連合会の規程で、取り戻した額の20%以下(裁判をした場合は25%以下)が過払金の報酬の上限です。費用の全体像と計算は、債務整理の費用を規程の上限で計算した記事で確かめられます。司法書士は1社あたり140万円を超える請求は代理できないことも、その記事で条文とともに説明しています。

なお、「過払い金があります」と電話やメールで連絡してきて手数料を先に求める相手には注意が必要です。業者に記録の開示を求めるのは自分でできることで、そのために前払いを求められる理由はありません。

よく検索される質問

過払い金請求に時効はありますか?

あります。2020年3月までに生じた過払金は、改正前の民法で「権利を行使できる時から10年」です。続けて借り返しをしていた取引なら、最高裁2009年1月22日判決により、取引が終了した時点から数えます。2020年4月以降に新たに生じた過払金は、改正後の民法166条で「知った時から5年」と「行使できる時から10年」のどちらか早い方です。

20年前に完済した借入れでも請求できますか?

原則として、取引が終わってから10年を過ぎていれば、業者は時効を主張できます。ただし、完済した後に同じ業者から借り直していて、全体が1つの取引と扱われる場合は、最後の取引の日から数えます。日付は取引履歴の開示で確かめられます。

過払い金請求のデメリットは何ですか?

完済した後の請求なら、CICは請求の事実を登録しないと公表しています。返済中で、計算し直しても借金が残る場合は、実際には任意整理と同じになり、JICCの取引事実(債務整理など)や返済の遅れが登録される可能性があります。請求した業者が自社の記録をその後の審査にどう使うかは公表されていません。

過払い金請求は自分でできますか?流れは?

できます。①貸金業法19条の2にもとづき取引の記録を開示してもらう、②利息制限法の上限金利で引き直し計算をする、③過払金の額と振込先を書いた請求書を業者に送る、④話し合い、合わなければ裁判所に請求する、の順です。

請求書に決まった書き方はありますか?

法律で決まった様式はありません。取引の期間、引き直した結果の過払金の額(利息を求めるならその額と根拠)、振込先口座、返事の期限を書き、計算書を付けるのが一般的です。送った日と中身を残すために、内容証明郵便を使う人もいます。

過払い金の請求で最初に確かめることは「いくら戻るか」ではなく、高い金利で払っていた期間があったかと、最後の取引がいつかの2つです。どちらも、貸金業法19条の2にもとづいて業者から取引の記録を取り寄せれば、自分で確かめられます。記録の保存は最後の返済などから少なくとも10年の決まりなので、心当たりがあれば、期限より先に記録を手元に置いておくことが、次に何をするか決める材料になります。